辻 隼人 

「ピアニストがトイピアノで表現するのは難しいという言葉に触発され」制作されたというこの作品は現代音楽家ジョン・ケージの演奏を担ったというトイピアニストのマーガレット・レン・タン氏にも絶賛されたという。
硬質で美しいトイピアノの音色と、愈々磨きのかかった七変化ヴォイスの弾き語りが堪能できるこの作品もまた、夢中夢のような非日常的な摩訶不思議な雰囲気に満ち溢れている。特に冒頭を飾る牝牛」の表現力の素晴らしさには思わず溜息を漏らしてしまいそうだ。それは深い眠りの中の記憶なのだろうか、あるいは束の間の果敢無い夢想なのだろうか。

夢と現の狭間に閉じ込められた精神が産み落とした美しい結晶とも言えるこの曲は、
夢の中で鳴っていた音楽をそのまま再現したもの、、、」で、音楽活動を始めることとなった記念すべき曲であるという。

hayato tsuji

 1, 牝牛
 2, 貴婦人の落馬
 3, 青リボン
 4, エリーゼのくせに!
 5, 四海
 6, wrecker
 7, セント・マーガレット医院
 8, 羊の歩み


 作詞作曲/辻隼人 表紙オブジェ/山下陽子
 協力/LIBRAIRIE6 編集/阿部共成 参考/T.T.端子
辻 隼人   ディスコグラフィー
hayato tsuji  discography

地の底から湧き出るような息遣いと静かなピアノに導かれて
幕を開けるこの2作目は自身のヴォイスとピアノに加えて各曲
にゲストを迎えて、前作よりも音的には変化に富んだ内容と
なっている。この変幻自在の肉声とアヴァンギャルドな音の混
淆は、おそらく日本のプログレッシブ・ロックの最高峰に位置す
るものだろう。特に「牝牛...」には息を飲まざるを得ない。途
轍もなく妖しく耽美的で異教的な空気に満ち溢れている。
それにしても「エリーゼのくせに!?」の再録には”?”が加え
られていたり、「日食」と「エリーゼのくせに!?」の2曲だけは
創作言語にもかかわらず歌詞(?)が印字されていたり、唯一歌
詞の聞き取れる「黒髪と沈黙」は聞き取り不可と印字されてい
たり...心憎い程に機知に富んでいる。


構想に数年をかけたという渾身の大傑作。メロディーの美しさ
はより深みを増し唯一無比のヴォイスは愈々レンジを広げも
はや神憑り的でさえある。比類なきロマンチシズムとミスティ
シズム、そしてバイオレンスの共存。沈潜と躍動、破壊と再生、
虚無と生気、正気と狂気。対極にあるものが混然と絡みあいな
がら、耽美な白昼夢と脅迫的な悪夢の間を往還する。ピアノと
ヴォイスは変幻として自在に操られ、地の底、闇の果て、虚空
の彼方に木霊する。迷宮のような音の世界はOPUSAVANTRA
やPIERROT LUNAIREのGUDRUNを彷彿とさせ、肉声による表
現領域の広さは PETER HAMMILL,ALAN SORRENTI, TITO 
SCHIPA JRといった真に先鋭的なアーティストを想起させる。
この圧倒的な存在感と底知れぬポテンシャルに心身の震えを
止めることが出来ない。
それにしても言葉は虚しい。
どうしたらこの信じ難い音楽を正しく伝えられるのだろう。



ジャケット裏表紙にはタイトルは9曲しか印字されていないの
に全10曲とクレジットされており、隠しトラックがある。非常に
難解で解明には時間がかかるかもしれないが、その隠しトラ
ックが、何とも美しい曲なので、とても罪作りな悪戯である。

1,エリーゼのくせに!
2,口やかましい女のバイオリン
3,青リボン
4,四海
5,セント・マーガレット医院
6,羊の歩み


 
作詞作曲/辻隼人 表紙/Julien Pacaud
エリーゼのくせに!(2008年08/15)

official home page

truly amazing music from japan !!! all tunes are only by his voice and piano .
nevertheless real progressive rock like great peter hammill or alan sorrenti
in aria era . but more exiciting , more deep feel , more amazing !more sensitive !
and more serious !!!
i can't believe so great talent exists in japan .!!! please lithen !!!

http://www.hayatotsuji.com/
エリーゼのくせに!(2008年08/15)
??(ママ)組曲 (2010年06/06 出版/鳥獣虫魚)
トイピアノ作品集 ベッドメリー (2011年10/08 協力/LIBRAIRIE6)
狂子先生 ditzy teacher 2012年3/30
狂子先生
赤いツァーリ
羊歯の眼の彼女
怪人怪人
OH!エリオット
憂鬱と病気と子供の時代へ
WRECKER*
レレ
氷のベルを鳴らす者

 全10曲 *悪戯あり

 作詞作曲/辻隼人 編集/阿部共成 美術/山下陽子

辻 隼人  HAYATO TSUJI  you tube

unofficial site

by shinichi suzuki
(c)shinichi kyousen suzuki2003 / 無断転載お断りします

創作言語+ピアノによる摩訶不思議な音の世界。伝統と前衛の共生、詩情と狂気の混淆。
美しいピアノの調べに誘われて悪夢と白昼夢の中をどこまでも彷徨い続ける。
真に創造的な音楽がこんなにも身近な処にあったことが信じられない。辻隼人氏の音楽は、
前触れもなく突然のように産み落とされてきた比類なき芸術の系譜に加えられるべきもので
ある。優れた先鋭的な芸術が常にそうであるように万人に受け入れられる類のものではない
だろう。しかしこの妖しく、美しく、狂おしく、そして破滅的でありながらも生気に溢れた肉声と
ピアノによる音のカオスは何処までも、何時までも聴く者を魅了する。
辻隼人 世界に誇る驚愕の音楽家の誕生である。

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狂子先生 ditzy teacher (2012年3/30)
 1, 日食
 (辻隼人 Vocal & Piano / 竹内和樹 Contrabass)
 2, ロシュ限界
 (辻隼人 Vocal & Piano / T.T.端子 Electric Guitar)
 3, 牝牛・・・
 (辻隼人 Vocal & Piano / セキドメ Toy piano)
 4, 聖マーガレット医院
 (辻隼人 Vocal & Piano / 柱谷旧 Electric Guitar)
 5, エリーゼのくせに!?
 (辻隼人 Vocal & Piano / 弘中聡 Drms)
 6, 黒髪と沈黙

 (辻隼人 Vocal & Piano)


 作詞作曲/辻隼人 編集/阿部共成、辻隼人
 写真/中山可奈子 装丁/林谷英昭、辻隼人
??(ママ)組曲 (2010年06/06 出版/鳥獣虫魚)

衝激のソロ・デビュー作。日本の音楽史上特筆すべき記念碑的な
作品である。60年代末からの英国に端を発した世界的なプログレ
ッシブなムーブメントは、ここ日本ではスタイルとして模倣に近い形
での作品はいくつか数えることは出来るが、真の意味で斬新で独
自の世界を創造したものは哀しいことにあまり思い出すことが出
来ない。創作言語(造語)を駆使して、時に囁くように、呻くように、
そして突如制御不能の如く暴れまくるヴォイスのなんと美しく破
滅的なことか。そして独学であるというピアノの見事さ。伝統と前衛
の信じ難い邂逅は,かのOPUS AVANTRAにも通底するものだろう。
それにしても
「エリーゼのくせに!」、なんて素敵なタイトルだろう!

トイピアノ作品集 ベッドメリー (2011年10/08 協力/LIBRAIRIE6 )