辻 隼人
hayato tsuji
地の底から湧き出るような息遣いと静かなピアノに導かれて
幕を開けるこの2作目は自身のヴォイスとピアノに加えて各曲
にゲストを迎えて、前作よりも音的には変化に富んだ内容と
なっている。この変幻自在の肉声とアヴァンギャルドな音の混
淆は、おそらく日本のプログレッシブ・ロックの最高峰に位置す
るものだろう。特に「牝牛...」には息を飲まざるを得ない。途
轍もなく妖しく耽美的で異教的な空気に満ち溢れている。
それにしても「エリーゼのくせに!?」の再録には”?”が加え
られていたり、「日食」と「エリーゼのくせに!?」の2曲だけは
創作言語にもかかわらず歌詞(?)が印字されていたり、唯一歌
詞の聞き取れる「黒髪と沈黙」は聞き取り不可と印字されてい
たり...心憎い程に機知に富んでいる。
構想に数年をかけたという渾身の大傑作。メロディーの美しさ
はより深みを増し唯一無比のヴォイスは愈々レンジを広げも
はや神憑り的でさえある。比類なきロマンチシズムとミスティ
シズム、そしてバイオレンスの共存。沈潜と躍動、破壊と再生、
虚無と生気、正気と狂気。対極にあるものが混然と絡みあいな
がら、耽美な白昼夢と脅迫的な悪夢の間を往還する。ピアノと
ヴォイスは変幻として自在に操られ、地の底、闇の果て、虚空
の彼方に木霊する。迷宮のような音の世界はOPUSAVANTRA
やPIERROT LUNAIREのGUDRUNを彷彿とさせ、肉声による表
現領域の広さは PETER HAMMILL,ALAN SORRENTI, TITO
SCHIPA JRといった真に先鋭的なアーティストを想起させる。
この圧倒的な存在感と底知れぬポテンシャルに心身の震えを
止めることが出来ない。
それにしても言葉は虚しい。
どうしたらこの信じ難い音楽を正しく伝えられるのだろう。
ジャケット裏表紙にはタイトルは9曲しか印字されていないの
に全10曲とクレジットされており、隠しトラックがある。非常に
難解で解明には時間がかかるかもしれないが、その隠しトラ
ックが、何とも美しい曲なので、とても罪作りな悪戯である。
official home page
truly amazing music from japan !!! all tunes are only by his voice and
piano .
nevertheless real progressive rock like great peter hammill or alan sorrenti
in aria era . but more exiciting , more deep feel , more amazing !more
sensitive !
and more serious !!!
i can't believe so great talent exists in japan .!!! please lithen !!!
創作言語+ピアノによる摩訶不思議な音の世界。伝統と前衛の共生、詩情と狂気の混淆。
美しいピアノの調べに誘われて悪夢と白昼夢の中をどこまでも彷徨い続ける。
真に創造的な音楽がこんなにも身近な処にあったことが信じられない。辻隼人氏の音楽は、
前触れもなく突然のように産み落とされてきた比類なき芸術の系譜に加えられるべきもので
ある。優れた先鋭的な芸術が常にそうであるように万人に受け入れられる類のものではない
だろう。しかしこの妖しく、美しく、狂おしく、そして破滅的でありながらも生気に溢れた肉声と
ピアノによる音のカオスは何処までも、何時までも聴く者を魅了する。
辻隼人 世界に誇る驚愕の音楽家の誕生である。
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衝激のソロ・デビュー作。日本の音楽史上特筆すべき記念碑的な
作品である。60年代末からの英国に端を発した世界的なプログレ
ッシブなムーブメントは、ここ日本ではスタイルとして模倣に近い形
での作品はいくつか数えることは出来るが、真の意味で斬新で独
自の世界を創造したものは哀しいことにあまり思い出すことが出
来ない。創作言語(造語)を駆使して、時に囁くように、呻くように、
そして突如制御不能の如く暴れまくるヴォイスのなんと美しく破
滅的なことか。そして独学であるというピアノの見事さ。伝統と前衛
の信じ難い邂逅は,かのOPUS AVANTRAにも通底するものだろう。
それにしても「エリーゼのくせに!」、なんて素敵なタイトルだろう!